スローガンと標語

品質標語の優秀作品と品質月間

平成25年の第54回・品質月間(11月)を目前に品質標語への意識・関心が高まっています。このところネット上でも俄かに、[品質標語 作品一覧]であるとか、[品質月間標語 一覧]といった「お調べ」が盛りあがっています。また、品質管理がうるさいのは工場や製造業の現場であり、[品質標語 工場]ないしは[品質標語 製造業]というお調べの実態が浮かび上がっています(筆者アクセス解析調べ)。

 

下記文中に品質標語の優秀作品のリンクがあります。

 

さらには、品質月間のことを最近とみに英語で?[Quality Month]と言うようになり、[QC標語]という検索をされる人も増えています。いずれにしろ、品質管理にかかわる言葉の増加はQCへの関心の高まりの証左として喜ぶべきものかもしれません。

 

すでに発表を見た、第54回品質月間のテーマは、『価値ある品質で 新たな成長を!』。主催者自らが見事な標語というかスローガンをテーマに掲げて下さっています。

品質月間標語の本質とは何か

品質標語、あるいは品質月間に作る標語の本質についての考察です。品質月間以外にも、年間の大きな労働者にかかわる運動に、全国労働衛生週間(10月1日~7日)と全国安全週間(2013年7月1日~7日)があります。こちらの場合も、品質月間同様、各種セミナーや訓話に加え、パンフやノベルティの配布が行われて、当該意識の高揚が図られることは言うまでもありません。

 

では、それだけのことをして意識の高揚・深化が本当に図られるのかどうか?そこが問題です。従業員個々へのインプットがなされたかどうか?その確認こそ、従業員からのアウトプット、すなわち標語の提出、ということになるのではないでしょうか。

 

研修報告書や業務報告書の提出と違い、標語やスローガンの提出となると、たとえそれが義務的なものであっても、従業員、さらにはその家族にまで『負荷』させても、まずは異議申し立ての出来ない、企業・団体にとっては『ありがたい』存在であるように思います。

 

▼【品質標語の優秀作】▼

 

あらゆる運動と意識付けに『標語』や『スローガン』は、もってこいの存在なのだと思います。

品質月間は毎年の11月(品質月間の成り立ち)

さて、品質月間標語の提出義務を発生させた品質月間。さらには、品質月間標語を作るために品質月間標語の一覧を探しまくる運動を促進させた品質月間。その品質月間の成り立ちを、以下に簡潔にまとめてみました。

 

初の品質管理大会が大阪で開催されたのが1951年(昭和26年)9月で、翌年には大手4社が各社毎に品質管理強調月間を設立。その後、【QC(品質管理)】という言葉は、業種を問わず中小企業・一般消費者にまで普及して知名度も向上。と共に「品質」の管理・向上への関心と運動が盛り上がる。この状況を背景に、品質管理の運動の中心として「品質月間委員会」が結成されて、1960年(昭和35年)に、【毎年11月を「品質月間」と】することに決定。

品質月間の標語への取り組みの強さ

品質月間の総合的な盛り上がりは、全国労働衛生週間や全国安全週間に比べると、その月間運動へのテコ入れというか、執着・パワーという点で、格段に大きなものがあるように感じますがいかがでしょう。

 

衛生週間は健康増進への意識高揚を、安全週間は労災への意識高揚を図る運動期間であるのに対して、品質月間は、その期間も月間と長く、生産者のみならず消費者の実生活にも大きく関わる『品質』という問題をテーマにしていることから、本然的に取り組むパワーに違いが出てくるということではないでしょうか。

 

故に、品質標語や品質管理標語への取り組みにも、従業員個々のレベルからして、格段に真剣なものが見て取れます。そして、そのことを裏付けるかの如く、品質管理の世界には品質標語どころか、『格言』の数々が存在しています。

品質管理の世界の格言と品質標語

※以下、上記コンテンツの流れから、筆者の別サイト・品質標語 品質月間に寄せて・に掲載した記事を引用しています。

 

品質標語と格言でなじみの深いものに「100の勘より正しいデータ」・「勘よりデータ、コツより標準」と述べ、「実践!管理者心得」第72回目を説くのは、UVC管理者セミナー講師の立川 剛氏(「実践!管理者心得」第72回目|http://www.uvc.co.th/J72.htmより引用)

 

以下、【斜め文字】の部分は全て、前掲のUVC管理者セミナー講師の立川 剛氏が説くところの「実践!管理者心得」の内容を引用させていただいたもの(http://www.uvc.co.th/J72.htmより引用)。

参照先:品質標語11句 品質管理の標語と格言

 

引用各所に私なりのコメントを付して品質標語の心と品質管理について考えてみました。

「100の勘より正しいデータ」
これはこのコラムでも何回も指摘している通りです。「データ無き者、発言権なし」と同じ意味ですね。

「勘よりデータ、コツより標準」
官能検査など標準化が難しいのですが、そこを標準化しないといつまでも職人芸に頼る事になってしまいます。そしてこの職人が辞めたらそれでお終いです。

官能検査とは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%98%E8%83%BD%E6%A4%9C%E6%9F%BB

官能検査のポイントは?
http://www.uvc.co.th/J80.htm

勘のデータ化とコツ(技)の標準技術化は、旧態然とした勢力への挑戦であり、その戦いを制して今日を築かれた先達には頭が下がるばかりです。そんな感謝の思いを強くさせられる品質標語です。

「品質のもたらす信用、増す需要」
最近は日系企業もコストと品質を極限まで追求しています。コストと品質管理のためシックス・シグマを導入している企業も増えてきています。品質とコストが自社の需要を増すことは間違いありません。

「見たか見本を、聞いたか指示を、頭に浮かべよ、品質向上」
見本は埃をかぶっている、作業標準書は改訂もされず、作業員が見にくい所においてある、聞いた指示も覚えていない、、、これでは困りますね。

 

全国安全週間とは(全国安全週間の起源)でも触れていますが、「安全第一」「品質第二」「生産第三」を掲げて安全作業に関する施策に重点をおいたところ、労働災害の減少と共に製品の品質が向上して生産性も上がった。という事実が「安全第一」の起源です。

品質第一では無いにせよ、顧客満足度を考慮するのであれば、時にコストを犠牲にした品質向上(ないしは品質の安定化)は必要であるということだと思います。

「管理図は工程異常の警報機」
管理図を間違って書き込んでいることがありますし、担当者が管理図の見方を知らないことすらあります。警報機だと思って注意して管理すべきですね。

「管理図は書くためでなく使うため」
まさにその通り!

各企業共、分業化があろうかと思います。自らが担当する仕事が全体の一部であっても、仕事全体の目的意識を持つことは重要です。そうすることで、一目前の仕事への意欲を凌駕して大きなモチベーションを得るに至れると思うのです。

「標準を無視して招く原価高」
これは良くある話しですね。勝手にやり方を変えて不良を大量に出してしまった、、、コストダウンの掛け声も空しく聞こえてしまいます。

「品質ばらつき、会社はぐらつき」
度重なるクレームのためオーダーを減らされてしまう、、、品質次第で本当に会社がぐらついてしまいます。

「信頼を不良一つで失うな」
僅か一つのクレームでも重欠点の場合、ことは重大です。長年築いた信用を一発で失う事すらあるのです。

標準化された後の体制の維持管理が如何に至難であるかを物語る品質標語です。なぜか会社や組織は放っておくと派閥が出来て不可侵の領域を生むものです。正しいことは正しいと言える組織と人間関係の確立が品質管理にも不可欠。

経営者や管理者は業務の結果ばかりに気を遣うのでなく、結果に至る従業員の状況・環境にこそ注視すべきだと思われてなりません。これは労働衛生管理の問題ですが、品質管理に不可欠な要素だと断言したいと思います。

次に品質管理の格言をご紹介しましょう。

「現場の迷信をなくすことが品質管理」
現場でおかしな作業を注意すると「前からこうやっています」「こうやることになっています」との返事。誰がいつ指示したのか個人名と日時を質すと「分かりませんが、こうやる事になっています」と本人も周りも誰も知らない事が良くあります。まさに幽霊に指示された事を守っているのです。これらの迷信を絶つことが品質管理につながります。

「処置しなければ不良は減らない」
当たり前ですが、これが意外と出来ていないのです。お互いに非難の対策会議、責任の擦り合い、さらには「どうせ解決しないのだから」との投げやりな対策、製造とQCの馴れ合い、対策書をきれいに書くための対策、現場での揉み消し、フォロー無き対策の実施などにより、対策の自然消滅となり、何の処置もしていないのに終わったと安心してしまうのです。そして忘れた頃に再発して、再び同じ事を繰り返すことになります。製造業に携わる人々は全員、この当たり前の格言「処置しなければ不良は減らない」をもう一度、真剣に見直す必要があると思います。

上記、品質管理の格言については、『事なかれ主義』から派生する現象だと思います。従業員の意識改革を自発的に促す施策が最も重要だと思います。

※以上、筆者の別サイト・品質標語 品質月間に寄せて・に掲載した記事より引用でした。

 

このように、品質標語に関しては、多くの定番標語や関連する格言まで存在しています。品質管理の追求によって、さらなる格言が生まれもするのでしょう。

品質月間をアピールする品質標語の募集

冒頭、品質月間の啓蒙運動の個人からのアウトプットこそ、品質標語の提出であると述べました。しかし、品質標語の提出はそればかりではありません。標語の募集という「行事」こそ、品質月間を鼓舞(アピール)する行事の筆頭であるということです。

 

品質標語に関してだけは?いい加減であるといけない風潮?があるように思いますがいかがでしょう。

品質川柳の募集

このように厳しい?品質標語の作成の世界。であるが故でしょうか、品質川柳なるものが存在します。むしろ、品質管理に関しては、スローガンとか標語とかいう「表」の顔ではなく、「現場の心」顔を表現した川柳の方が、従業員個々にも受けが良く、作っていて楽しいことからかなりの盛り上がりを見せています。優秀作共々、非常にユニークな作品まで勢ぞろいする有様です。

 

品質川柳の盛る上がりと募集の存在は、日頃いかに品質管理と標準化体制の厳守をうるさく言われているかの証拠に他なりません。

 

過去の品質月間 川柳一覧
http://www.q-month.jp/archives/senryu.html

品質標語の作品例に見る品質管理 では、品質管理が如何にあるべきかについて、品質標語の作品例に触れながら述べています。

最後に、品質標語とは何か?それは品質管理のためのなくてはならない存在であるということ。